新着情報

小名浜工場の設備稼動について

1999年2月 5日

 製紙用薬品、印刷インキ・塗料用樹脂ならびに粘着・接着用樹脂などロジン誘導体メーカーである荒川化学工業(大阪市中央区平野町1-3-7、社長 石部修平)は小名浜工場(福島県いわき市)の無色ロジンとその誘導体ならびにロジン変性樹脂の製造プラントの増設が完了し、平成11年2月4日に竣工式がおこなわれた。

 投資金額は17億円で生産能力は3,500トン/年、数年後には30億円の売上を目指す。

 当社は、これまで21世紀に向けた技術開発の基本コンセプトを「ロジンに代表される地球に優しい素材を通して、社会に貢献するスペシャリティー・ケミカル・パートナー」として展開、独自の技術に基づき、ロジンをはじめとする地球に優しい素材を提供して来た。

 ロジンはその特徴的な構造から、着色しやすい、劣化しやすいなどの欠点を有しており、これまでロジン関連製品が使用されてきた従来の分野においても、その欠点をいかに克服するかがロジン関連製品開発の重要な技術の一つであった。

今後さらにロジン関連製品の新しい分野における用途展開を目指していくためにはロジンの有する欠点そのものを解決する必要性があり、当社における長年の研究の結果、脱色した着色成分や不純物が極めて少ない画期的な無色ロジンとその誘導体を開発した。

 無色ロジンとその誘導体は高級粘着・接着剤用樹脂向けへの用途が多いが、無色透明を必要とするプラスチック・フィルム、記録材料分野での改質剤、金属やその他の不純物を嫌う高級フラックスならびに皮膚刺激や副作用を嫌う種々医薬品や化粧品の原料など、従来のロジンでは難しかった分野まで用途が拡大し、着実に販売が伸びてきた。

 さらに無色ロジンの新たな用途展開として、ポリプロピレン(PP)などの結晶性樹脂の光学的特性や機械的特性を向上する新しいロジン系結晶核剤(商品名:パインクリスタル)を開発し、市場開拓を行なってきた。

パインクリスタルは無色ロジンのカルボン酸基に金属を結合させたロジン金属塩であり、透明性付与タイプの「パインクリスタルKM-1300」とより少量の添加量で優れた効果がある、コストメリットを追求した水溶液タイプの「パインクリスタルKM-1000」ならびに高剛性付与タイプの「パインクリスタルKM-1500」を取り揃え、透明性、剛性両用途の開発に取り組んできた。

 また、天然物であるロジンを原料としていることから米国FDA(食品医薬品局)の認可を得ており、安全性に優れていること、安価で無色無臭であり、ポリプロピレンなどの透明性・剛性・熱変形温度の向上に対して、従来の結晶核剤に比べ優れた特性を付与することが可能であることから、国内はもとより、アメリカ、ヨーロッパ、その他海外での感触も十分で、今後の需要増大が見込めることが分かってきた。

 一方、ロジン変性樹脂は、印刷インキ向けの代表的なロジン関連製品の一つで、最近ではより高速印刷適性に優れた樹脂のニーズも高まってきている。環境に優しいロジンを原料としていることから徐々に販売量が増大しているものの、従来の製造プロセスではこのニーズに応えるのが困難なケースもあり、また環境問題がクローズアップされる中、廃水量が多いなど環境への負荷が大きかった。 そのため、高速印刷適性に優れた樹脂の製造と「環境への優しさ」を考慮した廃水量を低減できる新しい製造プロセスを検討してきたが、開発の目処が立ったことから新プロセスで製造可能なプラントの増強が必要となった。

 このため、従来、無色ロジンとその誘導体については、富士工場や小名浜工場、大阪工場、関連会社の高圧化学で各製造工程毎に分散して製造していたが、これを小名浜工場へ統合し、無色ロジンとその誘導体の製造能力を上げて本格的な供給体制を整えるとともに、ロジン変性樹脂の新プロセスでの製造設備が必要になったことから、今回の同時期のプラント増強を進めていた。

以 上